honeyed



「ほんとに甘いもの好きだな」
「はい」
「一番幸せな時は?」
「あまいもの食べてる時です」
「臆面もなく云うね」
「はい」





「買ってくるんじゃなかったな、ケーキ」
「なんでですか?」
「わざわざ呼びつけられて、こうしてやって来て、ソファで向かい合って二十分。最初に交わした会話がこれじゃね」
「すみません……つい夢中で…」
「妬けるよ、実際」
「やきもち、ですか?」
「僕との会話よりケーキの方がいいなんて」
「私、好きですよ?ケーキ買ってきてくれる夜神くん」
「ああそう」


「夜神くんは、食べないんですか?」
「いらないよ」
「そうですか」
「竜崎が食べてるとこ見てるだけで胸焼けがしそう」
「美味しいですよ?」
「だろうね」


「クリーム」
「え?」
「口の端。クリームついてる」
「ん………取れました?」
「まだ」
「どこですか?」
「ココ」








「!」







「………」







「…、…ん……」







「………取れましたか?」
「うん。………甘」
「当たり前ですよ」