「ケーキが台無しです」
 「竜崎がテーブル蹴ったからだろ」
 「こんなところに押し倒す方が悪いと思いませんか」
 「……………」
 月は床の上にひっくり返ったケーキの皿を見て、大きくため息をついた。
 「悪かったよ……」
 その場にしゃがみ込み皿を取り上げると、高価そうなカーペットにバタークリームがべっとりとこびりついている。適当に濡らしてきたタオルで拭き取れるところを拭き応急処置を施すと、月は後始末にバスルームへ向かいながら竜崎の身体を指差した。
 「フロントに連絡しておくから、その間に服着替えておけよ」
 竜崎の辛うじて身につけていたシャツにもバタークリームが飛散していて、傍目にもとてもいい格好とは言えない状態だった。
竜崎は指摘されて始めて気がついたかのように自らの胸元に視線を落とす。
 「そうですね。シャワーも浴びたいですし」
 シャツの裾を引っ張ってその有様を確認しながら独り言のように呟いた。
 「………それにしても」
 竜崎が視線だけをバスルームから戻って来た月の方へ泳がせる。
 「らしくなかったですね」
 「何が?」
 「月くんがあんな風に他人の気持ちを確認するようなことを言うとは思いませんでした」
 「………そう?」
 「ええ、初めてです」
 「………そうかな」
 「ええ」

 「もしかして、妬きもちですか」

 その言葉に、月がぶしつけに片目を細める。
 「何に」
 「………いえ、冗談です。後は結構ですよ。フロントには自分で連絡しますから」
 含みありげな間をおいて竜崎はふいと月に背中を向けると、艶めかしいほど白い脚を露に部屋続きになっている寝室の方へ向かった。
 「……竜崎のほうこそらしくない」
 吐き捨てるような月のその台詞に、竜崎が首だけを曲げて振り返る。
 「では、お互いさまということで。…………お茶に付き合ってくれて、ありがとうございました」
 そのまま寝室に入ると、静かに扉を閉めた。
 その背中を無言で見送りながら、月は心の中で竜崎の放った言葉を繰り返し反芻する。

 妬きもちですか。

 そうかも知れない。
 キラ本人である自分が自分自身に嫉妬するなんておかしな話だが、恋だとまで云わしめる竜崎の心を占め続けているキラと夜神月は別のモノだ。自分は竜崎にとってのキラたり得ない。

 つくづく、忌々しくもいろんな意味で自分はあの存在に嵌っているのだ。

 月は長く息を吐き出すと、テーブルの上に残された散らかった食器に目をやった。未だ身体の内に残る埋火に軽い眩暈を覚えながら、やっぱり意味のない時間だったと自傷する。
 サイドボードの上の荷物を取り上げ、フロアに通じるドアへと向かった。

 口の中には、まだあの甘みが残っていた。

 
  
 






どうも〜おつかれさまです!

今回は『ケーキと紅茶』ということで、とにかくケーキを食べるLたんを描写しよう!…という意気込みで書いたSSです。
ちょっとでもLたんらしいかわゆさが出せていたら…………いいんじゃないかなァ
意気込みがからまわりですか。そうですか(自己完結)

ホントは漫画にしようと思ってわざわざ資料用に不●家でケーキまで買って来てたんですが…無意味でした。
美味しくいただきましたが。
余談ですが、ライト様がケーキ買ってるところって想像すると笑えませんか(ヒド!)
●二家(←限定かよ)とかで買ってんのよ!Lたんのためにv萌えvv

よろしければ感想などお聞かせください〜。

それでは、最後まで読んでくださってアリガトウございましたv



update---2005.3.8