ランチタイム 四限目の終了を告げるチャイムとともに、僕は鞄を持ってあの人のところへ向かう。
「あ……いらっしゃい、夜神くん」
「もうそんな時間ですか」 テストの採点でもしていたのか、机の上にはB5のプリントが散乱している。
「あ、ハイ」
案の定、今日の昼食もフルーツサンドだ。
「え? ええ…まあ」 「そんなんばっかりじゃ、栄養偏るよ?」 「はあ…」
苦笑して、曖昧な返事でお茶を濁す先生に、僕はコンビニのビニール袋を差し出してみせた。ひとつ中身を取りだすと、にっこり微笑んでそれを先生の前に置く。
「……………………」
先生のそんな顔、初めて見たな…。
「"先生"が、好き嫌いしちゃ駄目でしょ?」 「…………………うう」
「それでよろしい」 先生が食べる気になったのを確認してから、僕は自分の昼食にとりかかった。
手が止まってるよ、と窘めてみても、はあ、とか気の抜けた返事をかえすだけで努力する気はないようで、まったく埒があかない。
「え? ええ…まあ……………あ!」
「!…………うう…」
それでもシュークリームのためなら頑張らないわけにはいかないのか、すこしずつだが、先生がサラダを口に運びはじめた。 不味そうな顔でレタスをしゃくしゃくと咀嚼し、なんとか喉の奥に飲み込んでいく。
トマトは特に苦手らしい。目尻に涙が浮かんでいる。 やっとの思いでミニトマトを喉に流し込むと、先生が大きく息を吐いた。 「よく食べられました」 子ども相手な口調でやさしく云いながら、ストローを刺したお茶のパックを差し出す。 半分ほど飲み干してひと心地ついたのか、ストローから口を離すと、恨みがましい視線をこちらに向けてくる。
「はいはい。これでも先生が心配なんだよ。そんな細い身体で、甘いものばかり食べてさ。病気にでもなられたら、たとえ先生は良くても僕はイヤだ」 「………………………」
「それよりホラ、これ」 ご褒美、とシュークリームを差し出すと、途端に先生はうれしそうに頬を崩す。さっきとは打って変わったその明るい表情に、僕は苦笑して息を漏らした。 「筋金入りの甘党だね…先生は」 「はい!甘いもの大好きです……あ、ありがとうございます」 手渡してやると、いそいそとパッケージを開ける。
「はい、とても」
「夜神くん?」 クリームでべたべたに汚れた指先にちろ、と舌を這わせると、甘ったるいバニラの風味が鼻腔から抜ける。ちゅっ、と音を立てて細い指を口内に含むと、ぴく、と先生の手指がふるえた。
「先生、僕デザートまだなんだけど」 「え……」
「いいじゃん、キスだけ」 「キスで終わったためし…ないじゃないですか…」
「ん……っ」 緩くくちびるが開いてきたところを見計らって、するりと舌を忍びこませる。 指よりも甘い先生の口内。 カスタードの味の残る舌を絡め攫うと、ぴくんと反応して僕の背中に腕を回してくる。
「終わらせるよう努力する」
おつです。 今度はおヒルごはんでもりあがってしまいました…ワタシひとりで(寂!) それというのも切っ掛けはいただいた素敵画だったり拍手のコメントだったりで こころあたりのある方はそこで手を挙げてください(なんで) スグ妄想につながるんですから!ワタシは! 最初書くにあたって従来どおりエロ路線でイクか 従来どおり甘々路線でイクかひじょうにまよったのですが けっきょくご覧のとおりになりました。 つまりはいつも通りということです…甘いわ。そろそろ吐くわ。(おまえが吐くな!) 生クリームしぼれなくってゴメンなさい(笑) それでは、最後までご覧いただきアリガトウございました〜v update---2005.8.21 |