パラレル・エロ注意。
っていうかただのエロです気をつけよう!














 「イヤですッ…こ、こんなところで…」

 ちょっと環境が違えば吐くお決まりの台詞が、また彼の口をつく。
 それでもなんどか啄ばむようにくちびるを合わせ、優しく抱きしめてやれば激しいばかりの抵抗も、徐々に収まることを僕は知ってる。

 「大丈夫だから。ね、先生…」

 「ひ、人が、絶対、人が来ます…っ」

 耳まで紅潮させて、僕の腕の中で必死に細い身体を捩る。


 薄暗く狭い、用具の押し込められた体育館の倉庫。


 さすがに今まで化学担当の先生に縁もゆかりもない場所でことにおよんだことが無かったためか、常ならそろそろ根負けして陥落するところが、先生は未だ意固地にシャツの合わせを掴んで死守するばかりだった。

 彼が本気でノーと云えば、僕は決して無理強いはしない。

 けど。


 「ゴメンね」


 ちゅっと軽く音をたて、その額にくちづける。
 今日こうして先生をこの倉庫に呼び出したのは、いつもどおりに優しく愛してあげるためじゃない。

 「夜神くん……?」

 先生が訝しむように、僕を見上げてくる。
 そんな目をして僕を見るから、いけないんだよ。先生。










体育倉庫編










 「いやです…っ、解いて…ほどいてください…!」

 「大きな声出しちゃ駄目だって。ホントに人が来るかもよ」


 窘めるような口調でそう勧告すると、素直な先生は騒ぐのをやめて、すがるような目で僕を見つめてくる。怯えからか、もう目尻には涙が浮かんでいる。
 僕はその可愛い顔にやさしく微笑み返すと、作業を再開した。

 なんなくひと括りに拘束した先生の手首を、床に坐らせた状態で頭上に吊るし上げる。
 つなげて縛った鉢巻の片端を上方の窓にはめこまれている格子に通すと、そのまま手が下げられないよう固く結び固定した。

 いままでこんなふうに先生の自由を縛めたことはない。
 かつてない展開に恐怖しているのか、先生は白んだくちびるをふるわせ、嫌々と力なくかぶりを振った。

 「こ、こんなの……嫌です…!」

 はやくも泣きそうな声で訴える先生に構わず、その着衣に手をかける。
 手を縛ってしまえば抵抗など無いに等しく、いつもより数段楽に衣服を剥ぐことができた。シャツの釦を外し、下肢を完全に露わにする。
 かくすことのできない羞恥からか先生が、小刻みにふるえながら僕の視線と手を避けるように、膝をすり合わせ背中をまるめて小さくなる。

 そうしたところで、僕はようやく手を止め彼の顔を覗きこんだ。

 至近距離で笑み視線をからめる。
 彼は潤んだ黒い双眸をなんどか瞬かせると、居たたまれないかのように長い睫毛を伏せ目をそらした。眉根をよせ、その柔らかなくちびるを噛みしめる。

 「………っ、なんで、こんな……」

 「ゴメンね、先生。
 今日は、先生の『嫌』は聞いてあげない」

 長く垂れ込める前髪をかき上げるように梳いてやりながら囁くと、先生は目を見開いて顔を上げた。僕と再び視線が合うと戸惑うように、不安げな面持ちで身体を縮こまらせる。

 「…やがみくん……?」

 ぎし、と手首を吊るした布が軋んだ音をたてた。












 必死の哀願も無視して、さらに右足首を下方の通気窓の鉄格子に結びつけ固定すると、先生はとうとう子どものような顔を晒してぐずりはじめた。

 両手が拘束されているうえ、片足とはいえ縛められれば先生の自由は完全にない。
 不規則に呼吸し胸を忙しなく上下させながら、涙混じりに「イヤです」「離してください」とそればかりを繰り返す。
 抵抗が弱々しく口先だけになったのは、足掻いても許されないだろうことを悟りはじめたからだろう。


 「……っ、なんで…。どうして、急に、こんな……。
 わ、私が、なにか、夜神くんの気に障るようなことを、したんですか…?」


 恐る恐る窺うように涙目で見つめてくる先生に、笑ってその黒髪を撫でてやる。

 「いいや。何も。ただ、たまにはちょっと趣向を変えて、無理やり先生を泣かしてみるのもいいかなって。初めてでしょ?……こんなふうにされるの」

 云いながら、縛った方とは逆の足を捉え割り開く。

 かつてしたことのない無造作なほどのやり方に驚いたのか、先生は反射的に脚を閉じようとするが、拘束に邪魔されてそれは叶わない。

 「あ……!」

 ろくな抵抗も出来ず、内股の奥までなんなく僕の目に晒され、先生は顔を真赤に上気させて視線をうつろわせた。さらに奥まった場所が見えるようほそい脚を持ち上げる。

 「や…ッ、やめ、…っ、」

 涙で縁取られた目をぎゅっとつぶり、先生が上擦った泣き声をあげた。
 腰を退かそうと身体を動かすたび、手首がよじれて結びがぎちりと硬い音をたてる。


 「ああ、そうだ」


 忘れてた、と大事なことを思い出したかのように大仰な声を出すと、僕は傍らに置いてあった薄手のタオルを手に取った。

 充分長さのあるそれを縦に折りたたむ。

 意図が読めないと云わんばかりの表情で、先生は僕の手元を不安げに見つめている。
 そしてそれを彼の目の前に持っていったところで、ようやく僕の目的に気がついたのか、悲痛な声を上げ、せきを切ったように激しく身を捩りはじめた。

 「いやッ、やっ…、それは…嫌です…!!」

 「『嫌』は聞かないって、云ったでしょ」

 「………やだぁ…!!」

 背けようとする顔を許さずに顎を捉えると、タオルを巻きつけ先生の視界を完全に塞ぐ。

 目隠しだって、いままでしたことなんていちどもない。

 手足を縛められ、目を塞がれたなにをされるかわからない状態に、怯えきった先生の肢体が固く強張った。

 「やめて…、外して、くださ……、…っ!」

 音も立てず顔をよせ、耳朶にぺろりと舌を這わせると、大袈裟なほどに先生は息をのんで身体をびくつかせた。そのまま嬲るように首筋から鎖骨までたどる。
 時おり噛みつくようにくちづけ肌に吸いつき痕をのこすと、そのたびに先生は鋭く甘い刺激にせつなく喉を鳴らした。
 そっと胸に手のひらをあてると、それだけでも身体が大きく跳ね上がる。

 見えていない所為で、触覚が過敏になっているのだろう。

 「うっ…!……ん、…」

 指先を赤い突起にからめ、押しつぶすようにしてなんども捏ねていると、引き結ばれていたくちびるがわずかにすき間をみせる。
 とろりと熱を帯びた吐息が、緩んだ其処からこぼれはじめた。

 先生が昂り出した合図。

 あれほど抵抗していたものが、すこしばかりの愛撫をほどこしてやったそれだけで、もう与えられる快楽を追うことに集中し始めている。

 あさましいほどに感じやすい、先生の身体。

 もっとも、そうなるよう仕向けたのは他ならぬ僕自身だ。


 素直に感じて悦ぶ先生も素敵だけど、そればかりじゃあつまらないから。
 今日は「嫌」も「やめて」も聞いてあげない。
 苛めて、泣かせて、先生を僕の好きなようにする。












 すっかり力の抜けた膝を先にしたように大きく拡げる。
 さっきとは違って、先生はもう殆ど抵抗しない。
 なにをされるか見えない不安に比例して否応に期待も高まるのか、焦らすようになんども優しく膝を撫でていると、先生がちいさく強請る色をふくんだ声を漏らした。


 いつもなら、僅かに反応し始めている其処を可愛がってあげるところだけれど。


 僕はさらに脚を抱え、腰を高く上げさせた。

 「あっ……!?」

 両手で腰を押さえ込み上体を屈みこませて、開かれ露わになった奥まった場所のいりぐちに舌を伸ばす。


 「やッ…やだぁ…!! やが、…っそこは、嫌っ…!!」


 此処に舌で触れようとすると、先生はいつも泣いて嫌がる。
 性器を口でされることにはようやく慣れてはくれたようだったが、こちらばかりはどうにも激しい抵抗にあって、まともに口淫したことはなかった。

 今までは許してあげていたけれど、今日は駄目。
 僕の好きにするって決めたから。

 「ひっ…あ、あ、…あ……、…だめぇ……っ」

 儚い抵抗を抑えつけ、わざとぴちゃぴちゃと音を立て表面を嬲る。
 愛撫されるさまを見せてあげられないぶん、聴覚から何をされているのかを教えてやる。
 舌を尖らせいりぐちをつついて苛めていると、いちいち刺激に応えるようにひくひくと其処を収斂させながら、先生は小刻みに息を引き入れ嗚咽しはじめた。

 「ひ……、んッ!!」

 唾液をからませ、力をこめて内部に舌先を押しこめると、びくっと抱えた細腰が揺れた。
 侵入した異物を不規則な収縮で締めつけてくる内襞を、緩慢な動きでなめ舐る。
 粘膜がこすれあうたび、くちくちと粘着質な音が鼓膜を犯した。

 「ふぁッ…、あ……、あ……、っん……」

 いつのまにか抵抗や制止がやんで、代わりに艶めいた喘声が先生の口からこぼれだす。
 だらしなく半開きになったままのくちびるが、唾液に濡れ仄赤く色をふくんでひどく扇情的だ。いちどもふれていない性器は、すでに痛いほどに固く勃ちあがり其処への愛撫を待ちのぞんでいる。溢れて幹をつたいはじめた透明な粘液が、明らかに後孔への舌淫に先生が感じていることをかくすことなく反映していた。

 「気持ちいい?」

 ちゅっと水音を跳ねさせ舌を引き抜き、代わりに中指を押しこむ。

 「ひぁっ……」

 前立腺を狙って指を蠢かしながら、呑みこんだ襞のすき間をぬぐうようにして、なおも舌で弄ると、軽く達したときのように内部の道がびくびくと断続的に痙攣した。

 「は…、あ…っ、…っ」

 「イきそう?」

 とろとろと蜜を吐き出す性器がひくんとふるえ、限界を訴える。
 拘束している所為か、目隠しの所為か、いつもより反応が早くて大きい。

 「このまま弄ってたら後ろだけでイけるかな?」

 「……っやぁ…っ……」

 僕の嗤いまじりの提案に、先生がうつむいたままかぶりを振る。忙しなく、昂った息を吐いて。無意識にか、濡れたくちびるをなんども舐めている。

 絡みついてくる粘膜を引きずりながら、ゆっくりと指を抜き出す。

 「ん……っ」

 先生の肢体が、排泄感にぶるりと身震いする。
 抱え込んでいた脚を下ろしてやると、それをだらりと床に預け脱力した。凭れたことで体重がかかり、ぎしりと、縛り上げた手首が軋む。


 気配でわかるのか、僕が立ち上がり傍から離れると、
 ぴくりと先生が僅かに顔を上げた。


 「……やがみ…くん…?……なにしてるんですか…?」


 「ん?いろいろな道具があるみたいだから…せっかくだしなにか使ってみようかと思って。なかなかないだろうし。体育倉庫なんて使うこと」


 え…、と声を上げ、事態の飲み込めていない先生をよそに、僕は倉庫内にあふれているとりどりの用具を物色した。

 「ああホラ、これなんか良さそう。卓球のボール」

 「………!!」

 子どもがおもちゃを見つけたような明朗な声を上げると、先生は一瞬怪訝そうに黙ったあと、すっと顔色を蒼ざめさせた。
 僕が云わんとしているその用具の用途を察したのか、背中をまるめて縮こまりながら首を振り、怯えた声でなんども「そんなのむりです」と繰り返す。

 「大丈夫だよ。小さいし。これくらいなら幾つか入れても平気だよ、きっと」

 「ひ…」

 僕ののんきに放った台詞に、先生はそうされるさまを想像したのか、戦慄してくちびるをふるわせた。血の気を引かせたのが傍目にもわかるほど顕著な反応に、すこしおかしくなる。
 再度僕が側にしゃがみこんだのを気配で悟ったのか、その脚をつかんだ途端、蒼白な顔で彼は口早に声をあらげた。


 「い、嫌ですッ、い、いれたらもう夜神くんとは絶交です!!!」

 「…………………」


 絶交だなんて、今どき小学生でも使わない。
 すっかり前後不覚に余裕をなくした23歳の恋人に、僕は声をたてて笑った。

 「はは。仕方ないな。コレ、入れたら先生どんな顔するか見てみたかったけど……絶交されちゃ困るからね。……道具、嫌だ?」

 子どもにするような口調でお伺いをたてると、先生はうつむけた顔をぎこちなく、急かされるようになんども頷かせる。

 生身を受け入れるのでさえ精一杯なのに、さすがにまだ可哀想か。


 「ああ、そうだ」


 腕の時計に目をやると、とっくに下校の時間を過ぎていた。
 今は補習期間だから、既に午前で授業は終わっている。

 「そろそろ教室閉められちゃう時間だから、鞄取ってくるよ」

 「え……」

 先生が力なく顔を上向かせる。

 「ちょっと待ってて」

 云いながら立ち上がると、先生は信じられないとでも云うようにくちびるを震わせ、縛られた手首を捩らせた。

 「ま、待って…夜神くんっ!これ、ほどいて……!!」

 「大丈夫。誰も来ないよ。大きな音出さないで、先生がいい子にしてたら」

 泣き出しそうな悲痛な声で哀願する先生を尻目に、僕は出口に向かった。
 戻ってくるころには、たぶん泣いちゃってるだろうけど。

 「いっ、いやっ!!、待っ……やが…」

 先生が何ごとか言い切らないうちに、僕は扉を閉めた。









 時間にすればほんの五分か十分。

 僕には取るに足らないあっという間の時間も、先生にとってはおそらく一生のうちで一番長い五分間だろう。

 渡り廊下を抜け、教室のある棟とを往復する間、人の影はまったくなかった。

 念のため倉庫の扉に外から鍵をかけておいたし、体育館の入り口も一箇所しか開いてないのは確認してあるが、勿論先生はそんなこと知る由もない。



 音を立てないよう鍵を外して扉を開けても、中からは物音ひとつしなかった。
 ちょっと奥を覗けば、この入り口の位置からでも簡単に先生の居る場所は見える。
 さっきと全く変わらない状態で、先生はもちろん其処に居た。
 脚をひきよせ、できる限り丸くなって壁際に小さくなっている。
 わざと大きく足音を立てて近づくと、目に見えてびくっと震えて、さらに身を縮こまらせるのが薄暗いなかでもわかった。

 目の前にしゃがみこむ。
 僕が黙ったままでいるので判別がつかないのだろう。
 違う誰かに見つかったのかも知れないと考えているのか、先生はこのうえないほど怯えきった様子でこうべを垂れたままでいる。

 「先生」

 耳もとに吹き込むようにして囁くと、弾かれるようにその顔が上向いた。
 そのまま視界を奪っていたタオルを解いてやる。

 「や…がみ、く……」

 僕の顔を視認するや否や、先生はぼろぼろと大粒の涙をこぼし始めた。

 「ひっ…、っ、……っ」

 「ゴメン、ちょっと意地悪しすぎたかな」

 呼吸すらままならないほど激しくしゃくりあげ、嗚咽する先生の髪をやさしく撫ぜてやる。やっぱり泣いている先生は、とても可愛い。

 「うっ………ひ、ひど……っ、ほんとに、お、置い…っ…、…」

 「ゴメンって」

 涙でぐちゃぐちゃになっている頬を手のひらで包み込むと、僕は開いたままの先生のくちびるを塞いだ。
 ちゅっと吸いつき、くちびるを舐め、歯列をたどる。
 優しく緩慢に口腔を愛撫してやると、ぐすぐすとした泣き声が徐々に収まってくる。

 本当に先生は、キスに弱い。

 キスに弱いというよりは、やさしくされることに弱いのかも知れない。
 やさしくキスして、甘い言葉を囁いてやればそれだけで、どんなことをされても許してしまえるんだから。
  

 「苛めるのは、もうお仕舞いにしよっか」











 手首の拘束はそのままに、吊るしあげていた鉢巻と右足の拘束をほどくと、僕は先生の身体を抱き上げた。
 手近にあったマットの上にそっと横たえると、またひとつキスをおとす。

 膝裏をすくい上げ、ぐっと上に持ち上げ秘部を露わにすると、先生は恥ずかしそうに眉根をよせ、ぎゅっと目を閉じた。泣き腫らした目元が艶っぽい。

 「ちょっと乾いちゃったね」

 時間が経過して、潤いをうしなったいりぐちに再びくちびるをよせる。

 「ん! ……っ、…」

 くちゅ、とはしたない音をたて其処を舐っても、先生はびくっと腰を揺らしただけで、もうさほどの抵抗はみせない。
 それでもひどい羞恥に必死に耐えているのだろう、噛み切ってしまうのではないかと思えるほどきつくくちびるに歯をたて、顔を背けている。

 内部はまだほぐれているようなので、すこし唾液で濡らすとそのまま舌を退いた。


 「入れるよ」

 「……っ」


 いりぐちに先端を押し当て、怯えたように息をのむ先生に構わず腰を進める。

 「ああ ぁ……っ!!」

 突き入れられる衝撃に、先生の華奢な背が弓なりに反り返った。
 ずぶずぶと、きつく狭いながらも懸命に僕を受け入れる其処は、いつもよりひと際熱を帯び、ぬるりと吸いついてくる。未だ両手は縛められたままなことが、すくなからず先生にとって興奮材料となっているのだろう。

 これなら遠慮は要らなそうだ。

 「ひ、っ……ん!」

 根元まで受け入れさせたものを、ぎりぎりまで引き抜き一気に突き戻す。
 結合部を動かすたび、先生の嬌声と肉の擦れあう音がたった。

 淫らな先生の姿態。

 何度抱いても、それだけで直ぐにもイかされそうになる。


 「ふぁっ、…あぁっ、──…っあ!!!」

 数度奥を突きたてただけで、先生はあっけなく絶頂を迎えた。
 びくん、びくんと不規則に肢体を波打たせ、白い飛沫を自らの腹やマットに飛び散らせる。あっという間に至った射精はこの状況に興奮を覚えていたしるしなのか、吐き出される精液もいつもより少し多い。

 「──…っ、……っ、……ぁ…」

 達した直後の、熱い内部の律動が慾情と衝動を煽る。
 それでも無茶に責めることはせず、先生の身体が徐々に弛緩し、痙攣が収まりをみせるまで動きを止め、抱きしめてやる。

 危うい呼吸を繰り返しながら快楽の余韻に翻弄される彼は、いつもの恍惚というよりはどこか苦さの入り混じった、苦悶にちかい表情を浮かべていた。

 息が静まってきたところを見計らって、脚を抱えなおす。


 「いい?……力、抜いてて?」


 短い問いへの返答も待たず、僕は抽挿を再開した。

 いちど達したことで、更にきつく纏わりつくように吸いついてくる内壁を引き剥がしながら、己の解放を求めて激しく揺さぶりたてる。

 「ひっ!…う、ぁあっ、…あ…!!」

 両手は拘束されたままで、何にすがることも出来ない。
 僕が突き上げるままがくがくと肢体を翻弄され、先生はなんどもかぶりを振りながら意味の無い喘声を上げ続けた。

 ぐちゅぐちゅと、繋がった箇所から卑猥な音がたつ。

 わざと先生が感じる場所を狙って腰を動かすと、達したばかりの先生の性器は、従順なほどに顕著な反応を示しはじめる。それに伴って、内部がさらなる快楽をほしがるように、すっかり呑みこんでいる僕自身に熱く絡みついてくる。

 いつまでも物慣れない仕草とは裏腹の、淫乱な身体。

 「………やらしい、先生…っ」

 荒まった呼吸の端で、かすめるように囁く。
 それを聞き取ったか否か、途端、見開いた先生の目からぶわりと涙があふれた。
 ひくんと反らした喉を引き攣らせながら、ぽろぽろと水滴を目尻から伝わらせ、マットを濡らす。

 「…ひ、……っく、ぅえ…っ、…っ」

 それからなんども揺さぶり責め立てて。
 先生が泣きじゃくりながらも再び達し、僕が中に精液を注ぎこむまで、飽きもせずこぼれ続ける彼の涙は、いちども止まることはなかった。















 「先生」


 繋がりを抜き去って、身体を離しても、先生は身じろぎすらせず横たわったままだった。

 手首をほどいてやると、其処は赤く腫れてすこし擦過傷がついている。
 ようやく自由をゆるされた腕を交差させ、先生が顔を隠す。
 そのまますこしも動かない。

 「せんせい」

 呼びかけても、首筋にキスをおとしても反応がない。
 相当機嫌を損ねたらしい。

 仕方がないか、と聞こえないよう、僕は密かにため息を吐いた。見れば、先生の下肢は互いの精液でどろどろに汚れきっている。

 とにかくなだめるのは後回しにして、後始末が先決だ。

 そう思い、目隠しに使ったタオルを拾い上げ立ち上がった瞬間、


 「どこ…行くんですか!?」


 先生が弾かれるように身体を起こした。
 その勢いに、驚いてわずかに目を見開く。

 「直ぐ戻ってくるよ。ちょっとタオル濡らしにいくだけだから」

 微笑んで、言い含めるようにやさしく云っても、先生は首を横に振ってすがるように僕を見上げてくる。

 「い、嫌ですっ…、も、置いて…いかないで…」

 置いていかれることがそんなに怖かったのか。
 僕のシャツの裾を掴んで離さない先生に、ちょっと罪悪感が湧いてくる。

 仕方なく後処理を諦め、僕は先生の傍に座り込むと、そっとその肩を胸に抱き寄せた。
 途端、先生がぎゅっと胸元のシャツを掴んですがりついてくる。


 まるで子どもだ。


 それが僕の前でだけなのかは定かではないけれど、教壇で見る先生とは別人のようなその幼い仕草が、いつだって僕にはたまらなく愛おしい。

 頭をひきよせ髪を撫でながら、片手で背中をあやすようにさすってやる。
 僕の肩口に顔を埋めたまま、先生が低く唸った。

 「私、お、怒ってるんですから…!」

 「うん。ゴメン」

 「イヤだって云ったのに…」

 「うん」

 「こ、こわかったんですから……すごく…」

 「わかってる。ゴメンね」

 「もう……あんなの、絶対しないで…ください」

 「………………」


 「…………なんで返事しないんですかっ!?」


 眦を吊り上げ、また泣きそうな顔で僕を見上げてくる先生の視線をかわし、僕は目をうつろわせると曖昧な笑顔をうかべた。

 「イヤ、だって……今日の先生、すごく可愛かったからなーって思って……」

 「……!! や、やっぱり夜神くんとは絶交ですっ!!!」


 『別れる』とは云わない。
 結局、本当のところは僕から離れるつもりなんて無いくせに。


 真赤な顔で僕の腕の中で暴れる先生をつよく抱きこむと、その瞼や頬になんども軽いキスを降らす。

 「怒らないでよ。ひどいことしたお詫びに、
 今度は僕が先生の云うこと、なんでも聞いてあげるから」

 「………………」

 なにがいい?と耳朶にくちびるをよせながら囁くと、先生の肩がぴくんとすくまる。
 ややあってから、ためらいがちに先生が口を開いた。

 「………本当になんでもいいんですか?」

 「勿論」

 先生が、赤らんだまま熱の引かない顔を、再び僕の肩に埋める。
 すこしかすれてしまった声が、しずかに僕の鼓膜をゆらした。



 「………抱きしめて、キスしていてください。
 私がいいって云うまで、ずっと」



 それで許してあげます、と、か細く呟いた先生を強く抱きよせ、甘くくちびるを塞ぐことで僕は返事をかえした。











おつです。
体育倉庫編いかがでしたでしょうかっていうかまたやってしまいました OTL (唐突に)
ストーリー上まったくかんけいのない話を…

それというのもこないだ絵茶したときですね、イヤに体育倉庫でもりあがってしまったので
そりゃもう妄想するしかないじゃないですか!(なんで)
いちどやりたかったんだよ…拘束・目隠し・放置プレイ…(さ、さいていだ)
そこはかとなく幻の高校教師・調教編がベースとなっております。
まさかホントに文にするとはおもわなかったよママン。

変則プレイにもかかわらず甘くって申し訳ございません…
甘くないと僕駄目なんです OTL


それでは、最後までご覧くださりアリガトウございました〜!



update---2005.8.14