cellphone sex





 「うッ、ぁあ…っ!!」
 「ホラ、もっと力を抜いてください」



 笑い混じりの声音で呆れたように言われ、俺は無理だ、と首を振った。
 同時に、ぐちゅ、と開かされた脚の間から、耳を覆いたくなるようないやらしい音が聞こえてくる。

 「い、たい…ッ、痛い…!こいず…、ッやぁあ!!!」

 もうやめてくれ、と訴えようとしたところを見計らったように、ぐっと一気に押し込まれ、俺は喉を反らして悲鳴を上げた。

 いつも古泉を受け入れている場所に、代わりのように埋め込まれているのは
 古泉の携帯電話だ。

 本来言うまでもなくこんな用途の為に設計されているわけではないそれは、飲みこまされるにはあまりに歪で。無理やり無機物を捩込まれる苦痛と恐怖に、俺はただ身体を震わせて泣くことしか出来ない。

 「そんなに難しくはないでしょう?きちんとほぐして差し上げましたし。
  処女でもないんですから」

 いつも僕のを美味しそうにくわえ込んでいるじゃありませんか、と嘲笑するように囁かれ、羞恥に一気に身体が熱くなる。

 「ひぅ…っ、…」
 「ああ…ホラ、入りましたよ」

 僅かに力が抜けたところを見計らってさらにぐっと押し込まれ、ずるりと一気に深く挿入された。衝撃にびくっと身体が跳ねる。
 古泉がやたら嬉しそうに、そこがどんなふうになっているかを実況してくるが、とてもじゃないが視線をそこに向ける勇気はない。
 だってそうだろう。携帯電話だぞ?
 無理やり変態の仲間入りをさせられた最悪な気分で、哀れなわが身を嘆き涙が溢れてくるにまかせて鳴咽していると、

 「やッ、やぁああっ…うごかす…なぁっ!!!」

 古泉の指が徐に飲みこまされたものを抜き差ししてくる。
 ぐちゅぐちゅ粘着質な淫音とともに無理やり拡げられた入り口の襞が擦られて、痛みと、それだけではない痺れるような感覚が沸き起こる。

 「ふぁっ!、あ…あッ、…」
 「ふふ…こんな恥ずかしいことされて、感じちゃうんですもんね。
  やはり淫乱ですよ、あなたの身体は」
 「ちがっ…、ぁああ!」

 否定の台詞を吐いたことを咎めるように一気に突き入れられる。
 中が恥知らずな動きで古泉の携帯を強く締めつけたのがわかった。
 それは携帯を操っている古泉にも伝わったにちがいない。いっそ死にたい。

 「うっ…、く、…、…」

 こうなってくると、もはやこの行為から逃げたいではなく、ひたすら耐えて一刻も早く悪夢が終わって解放されることを願うようになる。
 まさに諦観モード、諦めの境地だ。オピオイドの作用でもある。
 毎回こんなふうに辱められるたび、これ以上の屈辱はあるものかと思うのだが、そういう時はたいてい古泉はそれを軽く上回ることを仕出かしてくれる。
 それは今日だってご多分に漏れない。


 「さて、楽しいのはこれからですからね」


 とびっきりの笑顔で古泉が手にしているのは携帯電話だ。
 俺の体内に挿入されている古泉のではない。見覚えのある、それは。

 「な…んで、お前が俺の携帯…っ」

 持ってやがるんだ、と口にする間に、古泉は俺の詰問などどこ吹く風で左手で器用に携帯を操作し始める。

 「さあ、これで準備は整いました」

 ニヤニヤと綺麗な顔をゆがめながら、古泉が目を細めて俺を見る。
 嫌な予感しかしない。
 何する気なんだ。


 「…こうするんですよ」



 古泉が俺の携帯のボタンを押下した。



 「やッ…やぁああああ!!!」


 四、五秒間をあけ、突如中に埋め込まれた古泉の携帯電話が震え出す。
 いきなり始まった強い振動に、俺は殆ど絶叫に近い悲鳴を上げた。

 「ひッい、やだぁあ…!!とめ、止めっ…て、こいず…!!!」

 コールの度、くぐもった音を立てて携帯が震える。
 その無機質な刺激にわずかばかりの耐性は一瞬で崩壊して、俺はあられもない声を上げながら恥も矜持もかなぐり捨てて古泉に許しを請うた。

 「ふふ…そんなにお気に召しましたか?僕の携帯が」

 愉しそうな古泉の声と同時に、ぷつり、とバイブレーションが止む。

 苛まれていた振動が止まって、俺は安堵の息をついた。
 余韻にびくびくと引き攣る身体から徐々に力が抜けていく。
 しゃくり上げつつ肩で呼吸している俺の瞼に、古泉の唇がそっとふれた。


 「これでたくさん気持ちよくしてあげますからね。
  たっぷり楽しんで下さい」


 これ以上ない死刑宣告に、俺はただ目を見開き涙を零すしかない。
 無駄なことだとわかっていたが、やめろ、もう許してくれと譫言のように呟く。
 力無く首を振る俺を満足げに見つめながら、古泉が再び俺の携帯を操作するのが目に入った。







 結局古泉の携帯によるバイブ責めが終わったのは、それによって俺が二度射精を余儀なくされ、意識を失ったあとのことだった。














 その後。

 何が忌々しいかって、あれからもその携帯を素知らぬ顔で奴が使い続けていることだ。
 捨てろ!捨ててしまえそんな携帯!!






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acoさんからいただいた素晴らしき異物絵に興奮のあまり書いちゃった一品です
古泉が携帯を使うたびに与えられた快楽を思い出すわけですよ…
携帯のバイブ音だけでびくっと過剰反応するようになったらしめたものです(なにが)


update:08/1/11



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