作戦参謀の調教 5





「ふぁ、あ…、あ!…あっ…」

 身体の奥にうずまった楔が引き抜かれ、また埋め戻される。
 動作が繰り返される度、今まで聞いたこともないような自分の声が鼓膜をついた。
 悲鳴を上げすぎて嗄れかけた、甘えるような、助けを乞うような声。
 みっともなくて止めたいと思うのに、意思と肉体が別離しているようにコントロールがきかない。白くぼやけて殆ど利かない視界に、無機質な知らない天井と、よく見知った栗色の髪が写る。まぶたを瞬かせると、目尻からこめかみへ生温い滴がつたい落ちた。

 「ぅ、う、ぁああ…っ!!」

 ぐちゅ、とひときわ卑猥な音を立てて突き立てられ、
 俺は大きく喉を剃らせて喘いだ。

 「うぁ、……も、だめ、駄目…ゆるし…」

 「なかなかイきませんね。まあ、初めてですからこんなものでしょうか」

 びくびくと身体を痙攣させながら、苦しい息の下必死に懇願する俺とは真逆に、俺を責めさいなんでいる男は暢気な声で独り言ちながらなおも腰を使い続ける。
 どれくらいそうされているのか、汗や得体の知れない液体やらで汚れたデスクに触れたままの背がぬめって滑る。
 もう既に二度、奴は中で逐情していた。
 内部に出されたもので大分滑りのよくなったそこは、好き勝手に犯すには具合がいいようで、スムーズになった抽挿で届ける限り奥まで乱暴に突いてくる。あれほど酷かった痛みや気持ち悪さはもはや感じなくなってきていた。感覚自体が失せたわけではないだろう。麻痺しているのだ。

 「ひぁ…ッ、い、ぁあー…!!」

 ぐっと腰を押し付けながら拈りを入れられ、思わず甲高い声が出る。
 先に指でいじられていたときに感じたところを掠められるたび、ぞくぞくと内側から引きずりだされるような快楽が脳の奥を焦がした。それは射精感を伴うものの、まさか性器をさわられたわけでもなく、後ろを責められただけでは達くことなど出来ずに、はぐらかすようなもどかしい、苦痛と紙一重の快感に俺は身体をふるわせて耐えるしかなかった。

 「う…っ、おねが……します、も、……いか…せ…」

 ぐったりと肢体をされるがままに投げ出し、恥知らずな哀願をする。
 それすら厭う余裕もないほとに、俺の身体も精神も限界だった。
 いきたい。射精したい。もう解放してほしい。
 得体の知れない快楽に生殺しにされるこの状況から、一刻も早く逃れたかった。

 「イきたければ、こっちの刺激だけでイってください。
  出来るまではこのままですよ」

 ゆるゆると揺さぶりながら、身体を傾がせてきた男のくちびるが耳元で無情に囁く。
 言葉通り、挿入してからというもの一度も性器にはふれられていない。穏やかで優しげな口調ではあっても、許容の色はこればかりもないからきっと俺がそうするまで、こいつは赦すつもりなど毛頭ないのだろう。
 絶望で目の前が暗くなる思いで惨めにしゃくり上げていると、うるさいとばかりに力任せに突き上げられた。

 「ひぃッ、あ…、…!」

 ぼろっとあふれた涙がまたこめかみを伝った。耳の裏まで滴でぬれて気持ち悪い。
 がくがくと強張り小刻みにふるえる四肢を押さえ付けられ、尚も大きく律動を繰り返され、呼吸の自由すら奪われていく。

 「あ、あぐ…ッ、むり、です…、無理……、できな…」

 弱々しくかぶりを振りながら訴えると、舐めあげられた耳朶に痛いほどに歯を立てられ、う、と声がもれた。

 「大丈夫ですよ。こんなに感じやすい身体をしていらっしゃるんですから。
  ……ほら」

 ぐっと腰をつけられる。
 先端の張った部分が狙いすましたように感じるポイントをはっきりと擦り、俺はたまらず大きくのけ反り身体をのたうたせた。

 「ぁああ…、だめ、で…、そこ…っ!!」

 「ここがイイ、ですよね?大人しく力を抜いていれば、貴方のイイところ、いっぱい突いてあげますよ。そうしたら達けるでしょう?」

 面白いゲームでも提案するかのように喜々として囁かれ、くらりと眩暈がする。
 それが吐かれた台詞の意味を理解したからか、それとも過ぎた快楽からなのかはもはや判別しようもなかったが、否が応でも俺は吹き込まれた言葉に従わなくてはならないことだけははっきりしていた。
 濡れたまぶたをきつく閉じると、おずおずと足をさらに大きく割り開いて投げ出す。
 だらりと膝から力を抜くと、まるで自分からねだっているかのような恰好になって、いっそ舌を噛み切り自害したいほどの屈辱を感じた。

 「ふふ、いい子ですね…」

 早く終わってくれ。
 解放されるならもうなんでもいい。早く終わらせて、忘れてしまおう。
 もとの世界に戻ればきっと、すべては悪い夢だったと思えるようになる。


 「っぁああ、あ、あ!!?」


 柔らかく掌が髪を撫でたかと思うと、唐突に激しく揺さぶられる。
 さっきまでの好き勝手に使われるような動きではなく、こちらの反応を伺い探るように中を刺激され、ちかちかと目の前が明滅する。性感帯にあたって甘い悲鳴を上げれば、そこを執拗に狙って小刻みに揺すりたてられ、俺は恥も外聞もなく泣き喚いた。

 「ひっ、い、いや、ぁあッ…やだぁあああ!!!」

 強引に押し上げられる快楽に、こぷりと先端から濁った粘液が漏れる。
 射精してしまう。本当に後ろの感覚だけで。
 そう察知するなり、自分の身体が何か禍々しい、穢らしいものに作り替えられてしまうような言い知れぬ恐怖に駆られる。

 「やだ、ぁ、いきたく、な…いきたくない…!!!」

 慌てて伸ばした手で自らの根本を押さえると、まるで子供の駄々を笑ってみているような表情で、難なく手を引きはがされデスクに押し付けられる。

 「おや。さっきまであんなにイきたがっていらっしゃったじゃないですか。
  もう、いきそうなんでしょう?嬉しいですよね」

 「やだ、やだぁあ、アああ……!!!」

 ごり、と音が立ちそうなほど強く弱いポイントをえぐられ、俺は目を見開いて爪先から頭のてっぺんまで一気に緊張させた。


 「いゃぁ、ぁあああああー!!!!」


 逆らえない波に襲われると同時に目の裏が白くフラッシュする。
 びく、びくんと大きく身体を引き攣らせながら、次の瞬間には精液を吐き出していた。
 とうとうふれられないままの性器から、どろりと大量に溢れ出した白濁で己の腹や相手の軍服を汚す。
 達する瞬間後ろに飲みこまされたものを思いっきり締め付けてしまったらしく、く、と低い呻きが僅かに鼓膜に届いたが、それすら気にする余裕はなかった。

 「う…ぁ、あ、……、あ…」

 ひくひくと余韻に跳ねる身体を抱きしめられたかと思うと、ぬる、と内部の楔がうごめく。達ったばかりで敏感なそこを無遠慮に擦られ、ほんのわずかにすぎない動きのそれに、ああ、と熱っぽい声が喉をついた。


 「ホントにいっちゃいましたね。才能ありますよ…貴方」


 暫くは退屈せずにすみそうです、と、新しい玩具でも手に入れた子供のように笑う声も、再び始まった律動の波に、徐々に薄れていく意識と混ざり消えていった。










 この時俺は、これが陵辱に塗れた日々の始まりに過ぎなかったことなど、
 僅かばかりも気付かずにいたのだ。







監禁に続く






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続くとか言ってみるだけタダ!タダ!\(^0^)/←
欲望のままにかいてすいませんでした
某射手座の神様に奉納した小説ですが、うpしていいと仰せだったのでうpしました
えろのしつこさは愛に比例します(ノノ)


update:08/4/14



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