「う…ッ、こいずみ…、こ、いずみ……」


 再び迫る絶頂の気配を感じ一際強く腕の中の肢体を揺さぶると、彼は、不自然に息をつまらせながらも壊れたレコーダーか何かのように僕の名前を呼び続ける。
 殆ど意識のない、うつろな眼差しを天井に向けされるがままにがくがくと揺すられながら、子供返りしたかのように幼い表情でしゃくり上げこいずみ、と呼ぶ彼の髪をすいてやりながら、

 「僕はここにいますよ」

 と囁くと、ふっと視線がこちらを捉えるものの、すぐにくしゃりと泣き顔を歪ませて、ちがう、と首を横に振る。

 いったい何だというのだろう。

 接触記録のない正体不明の戦艦と共に、突如僕の前に現れた彼は、初対面であるにも関わらず僕を古泉、と呼んだ。
 信じられないとでもいいたげな目で僕を見て、初めまして、と手を差し出せばまるで酷く傷つけられたような表情を浮かべた。
 記憶のどこを探しても彼とは会ったことがない。
 それなのに相手は自分を知っているという事実に奇妙を覚えるのは当然だが、それよりもおかしいのは外ならぬ自分自身だ。
 何故一度も会ったこともない、得体の知れない人間である彼にここまでの執着にも似た感情を抱いているのか。
 救助と引き換えに、見ず知らずの相手に、しかも男にこんな蹂躙を働くなど正気の沙汰ではない。
 通常の自分ならば考えられない。
 それなのに、現に自分はこうして抵抗もできない彼を組み敷き思い通りにしていることに、言い知れぬ充足感を覚えている。
 それがいったいどういうことなのか、わかるはずもない。

 ただはっきりと分かっているのは、少なくとも、彼が泣きながら呼んでいる『古泉』が、僕自身ではないという事実だ。
 虫酸が走る、と思った。















作戦参謀の監禁
















 「っふぁッ、あ、ぅああ…!!!」

 「またいったんですか?これで何度目です」


 耳元で嘲笑してやると、ひっ、とのけ反らせた喉を鳴らしながら彼が身を竦めた。
 一度後ろの感覚だけでいくことを覚えると、随分と物覚えのいい彼の肢体は簡単にその快楽を貪るようになっていた。
 少し奥まったポイントに合わせて腰を動かしてやれば、すぐに切羽詰まった悲鳴を上げてのぼりつめてしまう。ひくひくと口を震わせる先端からはもはや殆ど精液は出ず、薄まった量の少ない粘液がどろりと吐き出されるだけだ。

 「そんなにこっち、こうされるのがお気に召しましたか」

 「ひッい!、ぁ、あぐ…ッ!!」

 達した直後で痙攣している中を強く擦ると、さらに不規則にしめつけてきて気持ちがいい。彼の方もたまらないらしく、薄い背中を限界まで反らせて手足をのたうたせる。
 とても初めてとは思えない反応だ。
 それがもともとの素質なのか、他の誰かとの交歓の結果なのか。


 「いったいあなたは、誰を見ているんです?」


 すっかり力が抜けてだらりと広がった膝から太股まで撫で上げる。
 返事はない。もはや殆ど聞こえていないだろう。
 ぐっと足を持ち上げて繋がった部分を隙間もないほどぴったりと押しつけると、彼はもう声も出ないのか、涎で濡れそぼったくちびるを震わせながらぼろぼろとすすり泣いた。
 襞のすき間からどろりと、僕が幾度となく内部に放った白濁が、彼の体液と混じり合って溢れ出す。
 狭間をつたったそれは、デスクや床にまで垂れおち汚してしまっているだろう。
 後始末が大変だ、と今更なことを考える。
 繋がってから殆ど触れてやらなかった彼の性器が痛々しいほどにひくついていて、戯れにその真っ赤に充血した先端を指の腹でなでてやると、


 「ふぁッ、あ、ぁああああ゛!!!」


 こちらが驚くほど激しい反応がかえってくる。
 びくん、びくん、と殊更に大きく肢体が痙攣したかと思うと、すぐにがくりと力を失い、静かになった。
 どうやら完全に気を失ってしまったらしい。
 ややあって僕も彼の中で何度目か数えてもいない射精を迎えた。
 漸く萎えた自身を抜き出すと、意識のない彼がう、と呻く。
 栓を失ってもだらしなく口を開けたままのそこからどろどろと逆流した粘液が大量にあふれだす。卑猥な構図だ。
 涙でしとどに濡れた頬にキスを落としながら、彼が眠っているうちにしなくてはいけないことを脳裏に書き出す。
 まずは汚した身体を綺麗にしてやって、着替えさせてやろう。
 彼が着ていた、どこのものともわからない青い軍服をいつまでも纏わせておくのは不愉快極まりない。
 個室も用意してやらなくては。彼がどうにかして逃げ出そうなどと馬鹿な考えを起こさないような、頑丈なセキュリティを施した部屋を。
 目が覚めたら彼はどんな反応をするだろう。

 僕には彼をそう扱う権利がある。
 何故なら。


 「あなたはもう、僕のものなんですから」








 これから始まるであろう彼との日々に、知らず口許の笑みが深くなった。






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そうして参謀の監禁生活ははじまった\(^0^)/
続くかもしれないし続かないかもしれませんすいません
すごくたのしいです


update:08/4/24



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