哀願
古泉に否定形を使ってはいけない。
それを俺は先日身を以って学んだ。
例によって当然の如く週末古泉のマンションのベッドの上で絡み合っていると、
「あなたも随分後ろだけでも感じるようになりましたね」
そう嬉しそうに囁かれたので、なんだか腹が立ってそんなわけないだろ、痛いし気持ち悪いに決まってる、と返事をしたのが地雷だったらしい。古泉の機嫌を損ねるとろくなことにならないのは重々承知していたはずなのだが、迂闊だったとしか言いようがない。
「そうですか。それじゃあ本当にあなたがココで不快感しか感じられないのかどうか、確認させてください」
絶対零度の微笑を向けられ、俺はフリーズしたまま直ぐに自分の失言を後悔した。
こういう表情の古泉は、いっそ猟奇的なまでの執拗さを見せることを、俺は知っていたからだ。
そこからの展開は言わずもがなだ。察してくれ。
一度突っ込まれた後で既に息も絶え絶えだった俺の身体を押さえつけ腕を縛り、簡単に達することができないよう根元をせき止めた挙げ句古泉は、本当に確認作業のような手つきでそこばかりを弄り倒してきた。
古泉の精液だのローションだの判別のつかない粘液でぐちゃぐちゃのそこを、長い指を行き来させたり入口を押し拡げたりしながら玩ぶ。
少しでも俺が声をあげるとわざとらしく「どうかしましたか?」ととぼけた声で囁きながら、反応した場所を集中的に責められた。俺が中で感じる場所なんざ俺自身より古泉の方がよっぽど詳しいのだから始末に負えない。
いくばくもたたないうちに限界以上に高められた俺は、泣きじゃくりながら古泉に許しを請う結果になっていた。
「じゃあさっきの言葉は訂正するんですね」
首を何度も縦に振って認めると、それなら本当のことをちゃんと口に出しておっしゃって下さい、と要求され、俺はしゃくり上げながら古泉が促すままの台詞を口にした。
「…ひっ、ぅ…、…っこ、いずみに、後ろ弄られると、き、気持ち、いい…ですっ…!」
もう泣くしかない。
なけなしの矜持も木っ端微塵だ。
嬉しそうに笑む古泉に、更に露骨な言葉で入れてほしいとねだらされ、殊更に揺さぶられながらどこをどう突かれると気持ちいいかを説明させられ、開放されるまでの長い時間、卑猥な台詞と執拗な責めで意識をとばすまで古泉は俺を苛み続けた。
目が覚めたあと、もう二度と迂闊な否定形を使ってはいけないと俺が脳内の古泉取扱説明書に書き加えたことは言うまでもない。
またひとつ学習できてよかったじゃないか。
ああ忌々しい。
キョンデレが通用しない鬼畜・古泉
愛眼→あいがん→哀願という腐連想により休み時間10分で書いたSSです
update:07/10/19