作戦参謀の調教 4





 散々そこをなぶられたあと、息も絶え絶えでぐったりとデスクに投げ出していた身体を反転させられる。
 机上に完全に乗り上げる形になって、裸の背中の下で書類らしきものが無残な音を立てたが、それを気にする余裕も筋合いもない。
 涙でぼやけた視界に、相変わらずどこか冷徹な微笑を浮かべた男が写る。
 殆ど全裸をさらしている俺とは真逆に、片手の手袋を外している以外は詰め襟のひとつすら緩めてはいない。そのことに益々一方的に貶められていると自覚させられるようだった。
 ぐい、と押し上げられた脚を左右に割られる。
 とんでもない格好だという意識はあったが、もはや抵抗する力もなかった。

 「ん……!」

 じくじくとした熱をもった後ろの孔を、確かめるように指の腹で押される。
 好き放題に弄られたそこは既にやわらかく解けているのか、少し力をくわえられるだけですんなり異物を飲み込むのがわかって、また泣きたくなった。

 「もうよさそうですね」

 ただ目を閉じてじっとしていると、独り言のような呟きとともに金具を外す微かな音が聞こえた。
 このあと奴がどうするつもりなのか、わからないほど馬鹿でもない。
 逃げることも叶わない。ここまで来てしまったら、もうすべてが終わるまで息を殺して待つしか俺に取るべき手段は残されていない。


 「………っ!!!」


 苦しいほどに膝を押し上げられ、指の代わりに熱い、別の感触がそこに来る。
 いやだ、と喚く前にひどい圧迫感と痛みが襲って、俺は声を上げそこなったまま大きく背をのけ反らせた。

 「……ッ、……あ、……ッ、っ…!!」

 「…っ力、少し抜いてください。これじゃ入りません」

 まるで死にかけの爼上の魚みたいにびくびく跳ねる身体を無理やり押さえ付けられ、少し上擦った声で囁かれる。
 無理だ。こんなの。
 呼吸すら満足に出来ず想像を絶する苦痛のさなか、俺はなんとか首を横に振った。
 ぎちぎちと身体の内側が悲鳴を上げる。体が裂けてしまいそうだ。
 ぶわりと涙が沸いて、こめかみを伝いおちていく。苦しい。それがどれくらい中に入っているのか見当もつかなかったが、ただ繋がっている部分が爛れそうに熱かった。

 「息、してください。力を抜いて…」

 「…ッぁ、…かはっ……、…あ…」

 苦痛で完全に萎えた性器に、再び指を這わされる。
 ぬめりを纏わせて扱かれると、僅かに芽生えた快楽に身体はみっともなく縋り付いた。

 「…ふ、ぁ……、っあ、…っく……」

 少しずつ解けていく身体の緊張に合わせて、軽く腰をゆすりたてられそのたびに、穿たれた楔が奥へと侵入してくる。


「…ふ、全部、飲み込めましたね…」


 確認するように接合部を指でなぞられ、そう呟かれるころには、俺は額にびっしょりと汗をかいていた。
 びく、びくと引き攣る身体をなんとか宥めこむ。
 呼吸をするにも気をつけていないと、不意に後ろを意識してしまうと強く締め付けて苦しいので、浅く不規則に息をしながら出来る限り力を抜いた。逆らうと辛いのは外ならぬ俺自身でしかない。
 痛みと熱でぼうっとする頭で、思考を巡らせた。
 なんで俺がこんな目に合わなきゃならないんだ。
 本物の古泉と恋人同士でいるならいつかは体験することだったのかもしれないが、相手は古泉の姿をした別人だ。古泉じゃない。それなのにこんな蹂躙に堪えなきゃならない理由はなんだ。
 軍務の為に、俺はここまで矜持を捨てるのか?
 脳内の僅かな部分に残された自問自答していると、また別のことを考えていたことを悟られたのか、ぐっと腰を押し付けられる。

 「んう…ッ、…、ぐ、!」

 「ずいぶんと余裕がおありのようですね。それでは手加減はいりませんか」








入りましたすいません/(^q^)\



update:08/4/10



5へ→