ルール オン ジェラシー 6
未だ縛られたままの腕を引っ張り上げられ無理やり起こされると、そのまま横抱きに抱え上げられる。
いくらか古泉より見劣りする身長だとはいえ、苟も同年の男をいとも簡単に持ち上げられる腕力はいったいどこからくるんだ。いやそれより問題なのは、これは俗に言うお姫様抱っこというやつじゃないのか?
そんなふうに扱われて喜べるような趣味を持ち合わせていない俺は、勿論丁重に辞退しようと身をよじらせたが、古泉はそんな俺を平然と「暴れると落としますよ」と宣うことで黙らせた。そのまま寝室から連れ出される。
連れていかれた先はバスルームだ。
相変わらず小綺麗に磨かれた床の上に降ろされる。
冷たいと大いに文句をつけたかったものの、投げ落とされなかっただけでもましだと溜飲を下げる。古泉は後ろ手にドアを閉めると、シャワーヘッドを取り上げコックを拈った。
水しぶきが足元にかかり、波紋を描いて排水溝に流れていく。それが段々温かな湯に変わり湯気が立ち込めても、古泉は黙ったままだ。服が濡れても構わないらしい。
居心地の悪さに少しでも距離を置こうとするが、言うまでもなく男二人で入るようには設計されていないマンションのバスルームは狭く、床に座り込めばそれでもう身体は密着してしまう状態でこればかりも避ける余地はない。
「何、する気だよ…」
無言の古泉が不気味で怖々とそう口にすると、古泉が前髪の隙間から俺を見た。
「汚れてしまったので、綺麗にするんですよ」
言いざまにぐいっと強引に足を割られ、膝を胸の方へ押し上げられる。
勢いでバスタブのふちに後頭部をぶつけたが、古泉は意に介する素振りもない。
「や…!!、ぁぐっ…」
躊躇することなく、さっきまで古泉が入っていたところに指を挿れられる。くぷ、と空気をはらんだ水音と共に、緩んでいたそこは簡単に異物を根元まで飲み込んだ。
「う…っ」
その拍子にぎゅっと後ろに力が入ってしまって、縁からどろりとあふれだした粘液が狭間を伝う。
その様子を俯いたままの古泉がじっと見つめているのが解って、風呂に浸かっているわけでもないのに逆上せたように顔が熱くなった。
「み、るな…!!」
せめて腕が自由になっていれば、物理的に古泉の視線をそこから外すなり出来たのに、そんな些細な抵抗すら今の俺には許されない。
目をきつく閉じて顔を反らすと、ふっと哂うような吐息が降って来た。
「心配しなくても、きちんと洗い流して差し上げますよ」
その台詞に甚だしく嫌な予感がして瞼を開く。
指で押し開いた場所に、古泉が水の噴き出ているシャワーヘッドを近づけようとしているのが目に入り、そこで漸くその言葉の意図に気がついた。
「いッ…、いい!!古泉ッ…じ、自分で、するから…!!」
「じっとしてください」
足をばたつかせて逃げようとしても、すぐ後ろはバスタブ、唯一の退路は古泉の背後、おまけに身体はさっき強いられた無体で殆ど言うことをきかない。
これは詰み、チェックメイトというやつじゃないのか。
「いっ…やだ、やっ…ぁああああ!!!」
熱い湯の飛沫が直接粘膜に当たる感覚に、俺は驚いてのけ反った。
悲鳴が立ち上った湯気に満ちた室内に反響して消える。
跳ねる足を難無く押さえ込むと、古泉はさらに容赦なく指で入口を拡げ、中に注ぎ込むようにヘッドを押しつけてくる。
「ひッ…ぁああっ!!、っやめ、お湯、が、ぁ…入っ…!!!」
腹の中に水が流れ込んでくる。熱い。
散々擦りたてられ虐められた内壁に沁みこみ、中が爛れたような熱をもつ。
その総毛立つような感覚に、いい加減枯渇してしまいそうな涙がぼろぼろと溢れた。
あつい、やめろと必死に懇願したところで古泉はどこ吹く風だ。
「うぁッ、…や、ぅ、っくる、し…、ぃっ…やだぁ…」
中がいっぱいにされる。気持ち悪い。
わずかずつ体内に注ぎ込まれる湯の量に反比例して、ぐったりと段々静かになってゆく俺を見下ろし、古泉が残酷に微笑む。
もう無理だ、と訴えようとした一歩手前で、漸く湯が止められた。
「さぁ、出してください」
その台詞に、俺はバスタブに身を凭らせたまま信じられないものを見るように目を見開いた。まさかこの状態で、中のものを出せっていう気か!?
「う、っ…や、だ…ッ出来な…」
「苦しいんでしょう?早く出してください」
必死に首を振る。
古泉の見ている前で、そんな排泄じみた行為なんぞ素面で出来るわけがない。
頼むからもう解放してくれ、それが無理ならせめて事が済むまで出ていってくれ、と縋って効果があるなら俺は端からここまで苦しめられてはいまい。
じっとりと汗が額に滲むのに、背筋がぞくぞくして指先は冷え切っている。
苦しい。早く出してしまいたい。
「ほら…」
きつく力を込めている入り口を爪先で撫でられる。
もう片手で下腹部を強く圧され、俺は堪らず泣き叫びながら喉を晒した。
「やだっ、いッ、嫌、いや、ぁ……!!!」
わずかに力が緩んだ瞬間、ごぽりと卑猥な音を立てて中に注がれたものが逆流してあふれだす。一度堰を切ってしまえばもうどうしようもなくて、俺はしゃくり上げながら身体を震わせるしかなかった。
頭が真っ白だ。何も考えられない。
がくがくとふるえる肢体を抱きしめられたかと思うと、呼吸に合わせて未だお湯を溢れさせているそこにひときわ熱い感覚がきた。うつろな視線を下腹部に向ければ、屹立した古泉があてがわれているのが見え、一気に血の気が引く。
「っや、やめッ……まだ…」
お湯が、と言い切る前に、一気に突き破られる。
「ッひ、…――――ッ!!!」
目の裏に光彩が走り、肢体が電気を流されたみたいにびくびくっと強張った。
中に残ったままの湯が古泉に圧され、揺すられる。
白くかすむ視界で、古泉のくちびるが何事かをつむぐのが見えた。
もはや苦しいのか痛いのか、気持ちいいのかさえわからない。
綯い交ぜになってこみ上げる感覚に、俺は知らず精液を放ち意識を手放した。
キョンくん…おつでした…!
(`;ω;´)
update:08/2/4