夜神 月 という名前は、
この高校に赴任してきてまもない私の耳にも入ってくるほど、学校内では知れた 生徒だった。
成績優秀で、常にトップクラス。かといって勉強だけが取り得というでもない。中等部で所属していた運動部での成績も出来過ぎだと思えるほどに並外れたものだった。それに加えてあの、人目をひく容姿。
芝居じみた経歴を持つ彼が、私の居るこの保健室にやってきたのは十月の始め。 学校医として白衣を着るようになり、一月が過ぎようという頃だった。