ATTENTION!

部下の方々×作戦参謀
消失古泉の世界から還って来た後の話です
MOM(モブキョンを 大いに 盛り上げるための)団協賛作品です。うそです←
でもやっぱりキョンがかわいそうです




大丈夫な方はどうぞ!



















 貴方が悪いんですよ。

 向こうの古泉にも幾度となくそう言われた。貴方が悪いんですよ、男を誘うような、他人の理性を根こそぎ奪うような真似をしておいて何も知らないような顔をして、そんなの何をされても文句は言えないと思わないんですか、と。
 馬鹿言えとしか言いようがない。
 別に誰も誘っちゃいないし人を淫売のような言い方をするな、と憤慨し言い返したら何も分かっていないと罵られ大層酷い目に遭わされたものだが、今となってはあの白い詰襟姿の古泉もいなくなり、俺の身体に触れる人間は消えた。
 皮肉なものだが、そうなって初めてあの時古泉に言われたことが正しかったのかも知れないと知ったのは、元の世界に還って二ヶ月後のことだった。

























一般棟MS-108シャワー室




























 「馬鹿な真似するな。お前ら何をしてるかわかってんのか」

 一般棟のシャワールームに声が反響して消える。
 交代勤務兵用のそれはそれなりに広い作りで、間仕切られたブースが連なる一番奥の、入り口から死角になった場所で俺は目の前に立つ男三人を睨み上げた。上げた、というのは視線の高さにかなりの差があるからだ。つまり俺はタイル敷きの床に座り、向こうは立ったまま俺を見下ろしている格好である。
 ニヤニヤと嫌な笑みを浮かべているその三人は、俺の直属の部下に当たる。
 部下と一緒にこの誰もシャワー室に用のない時間帯、こんなところで何をしているかって?そんなの俺が知りたい。
 腕を揺らすと、がしゃ、と金属が擦れる音が立つ。
 両手首にはなぜか手錠が嵌められ、鎖でバルブに固定されている。軍支給の備品で上官を拘束するとは銃殺刑も厭わないらしい。

 「今ならまだなかったことにしてやる。だからこれを解け」
 「残念ながらそれは無理ですね」

 抗命罪で軍法会議ものだ。
 相変わらず哂ったままの部下のひとりが、膝をつくようにしてしゃがみこむ。

 「いいじゃないですか。ここまで来て意味がわからないってんじゃないでしょう」
 「ちっともわからん。懲罰房が嫌なら今すぐ…、っ…」

 言い終わらないうちに伸びてきた手に軍服の襟元を乱暴に掴まれ、思わず言葉を呑み込む。殴られるのかと僅かに身を固くすると、予想とは裏腹に掌はそのまま下がり上服の裾を捲るように持ち上げる。同時に横にいたもう一人が、ポケットから折りたたみ式の、これも支給物のナイフを取り出し手渡した。
 すっと背中が冷たくなる。

 「な、……」

 何をする気だ、とは声にはならず硬直する俺に、男が可笑しそうに喉を鳴らすと、ナイフの切っ先を裾に当てそのまま勢いよく縦に引いた。び、と布地が裂ける音がする。
 あまりの暴挙に思考停止状態でいると、今度は別の男がベルトのバックルに手をかけてくる。そうされて漸く自分の置かれている境遇と、奴らの目的を自覚した。

 「いやだ、やめろ馬鹿、…っ!!」
 「ああ、暴れないで下さいよ…痛いのがお好きなら別ですが」

 下腹部にぴたりと刃先を当てられ、はっとして身を捩るのを止める。
 タートルのインナーを押し上げるようにして、傷がつかない程度の力で肌の上をナイフが撫で上げていく。

 「……や、…、……」

 眼前で男が笑う。猛禽類の笑みだ。まるで弄べるだけ弄んで仕舞いには食べてしまう獲物を手に入れた捕食者のような、優越の笑み。
 あの古泉と同じだ。いや違う、もっと質が悪い。
 頭の奥ががんがんした。

 「大体、貴方がよくないんです。あんな物欲しそうな顔してフロアをうろうろされたら、誰だってちょっと懲らしめてやろうって気持ちになると思いますよ」
 「何…言って…」

 物欲しそうな顔なんてしてない、と反論しようとしたところではっとする。
 僅かずつ刃先で押し上げられていくインナーは既に横隔膜の当たりまで捲りあげられていて、あと少しでも持ち上げられたら胸元が露ににされてしまうところまできていた。
 まずい。
 すっと湧き出た冷や汗で背中が冷たくなる。
 両胸には向こうの古泉につけられたチェーンピアスが、古泉が消えた今でも未だ残っている。
 それを見られでもしたら。

 「やッ…、い、嫌だ…やめろ!!」

 上体を捩らせて逃れようと試みたものの、横から伸びてきた別の奴の腕に押さえ付けられびくともしなくなる。がしゃ、と手首の手錠が嫌な金属音を立てた。

 「駄目、だっ…やめてくれ、頼むからッ…」
 「あは、どうしちゃったんですか?急に威勢がなくなりましたね」

 こわくなっちゃいました?と子供に尋ねるような調子で言いながら、奴がぐっと鎖骨の当たりまで一気に布を捲りあげた。

 「………っ!!」

 細いプラチナのチェーンがちりん、と微かな音を立てると同時に、男達が息を飲む。
 きつく目を閉じていても、そこに視線が集まっているのが痛いほどにわかる。
 見られてしまった。
 かっと湧いて出る羞恥と屈辱にぐらぐらと視界が廻るようだった。
 こんなところにピアスをつけているなんて、いくら口で否定したところで好きモノ確定じゃねえか。最悪だ。
 古泉の馬鹿野郎、どうせお前も消えちまうなら何でこんなのを残していきやがったんだ。さっさと外しておけばよかった、どうせこれを付けた古泉はもういないのに!
 脳内で思いつく限りの言葉で古泉を罵倒していると、伸びてきた手にくん、とチェーンを引かれる。

 「! う、…っ」
 「なんですかこれ?…凄いな、まさかあのストイックで生真面目な作戦参謀殿がこんなシュミをお持ちとは」
 「ち、が……」
 「何か違いますか?じゃあなんですこれ?こんなところに針通しちゃうくらいの変態なんじゃないですか?貴方は」

 嘲笑と侮蔑交じりの声が愉しそうに揶揄する。
 両胸をそれぞれに別の手が、悪戯にチェーンを引いたり針の通った乳頭ごとくりくりと揉み込み弄ったりと好き勝手に動き出す。ぎゅっと閉じた目から涙が湧き出そうになるのをひたすらに堪えた。泣いてたまるか。
 狭いブースの中で背後に回り込んだ一人が、俺を背中から抱え込むようにして固定する。同時に回り込んだ手が下衣を剥ぎ取りにかかる。
 いやだ、やめろと声を上げては見るものの、自分でも情けない上擦った声しか出なかった。
 べろりと耳にぬめった生温かい舌が当たり、ひっと小さく息が漏れる。
 同時に目を開けてしまい、視線が合った目の前にいる男がまた唇を嫌な形に歪ませた。


 「大人しくしていれば、とびきりイイ思いさせて上げますよ……古泉幕僚総長よりも、ずっとね」






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update:09/09/10



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