ATTENTION!
異物がマニアックです
前立腺炎治療器具が登場します
一応注意しておきます




むしろ好物な方はどうぞ!



















 「ぜっっっってえ嫌だ。断固拒否する」
 「そんなこと仰られましても、約束は約束ですから」

 これ以上ない爽やかな微笑を浮かべて古泉が小首を傾げる。
 はっきり言おう、こいつは頭がおかしい。

 「勝負に負けたほうが勝者の命令をひとつ聞く。貴方が言い出したことでしょう」

 まるで鬼の首をとりましたと言わんばかりのいい顔だ。こいつがこういう顔の時は往々にして俺がこめかみを押さえることになる。自明の理といって過言ではない。

 事の発端はいつも通りの放課後だ。
 古泉が激弱なせいでちっともゲームが持たないチェスにも飽きて、多少は運が絡む分マシとも思えるポーカーに切り替えることにした。ノーレートでポーカーというもの張り合いがないので、軽い気持ちで先に古泉が言った条件を付帯したのは確かに俺だ。
 当然そこには『俺が古泉に負けるはずがない』という今までの経験からくる自信があったからなのだが、実際蓋を開けてみたら古泉のロイヤルストレートフラッシュ一本勝ちだった。有り得ないだろそんなの。

 「いかさまに決まってる。出鱈目だ」
 「おや、先程そう仰って僕のボディチェックまでなさったではありませんか。それ以前にカードは貴方の持ち物ですし」

 僕がイカサマを仕込める余裕は無かったと思いますが。と笑う。確かにこいつがそういう方面の超能力者じゃないのは残念なことによく知ってる。
 だがしかし、普通学友同士の他愛ないお遊びで相手がこっちがドン引きするような要求をしてくると誰が予想するだろうか。普通だったらこう、帰りに鞄持ちをするとか、ジュース奢るとかそんなもんだろう。
 こいつが嬉々として持ち出した要求。それは、

 「そんなに嫌がらなくてもいいじゃないですか。可愛いものでしょう?
  エネマグラを使ってみたいなんて」






















やさしく愛して






















 俺は本気でこいつと別れることを考えたほうがいいかもしれん。
 理由は性の不一致だ。
 好奇心が人一倍なのか単なるド変態なのかは知れないが、古泉のセックスに関する探究心は半端じゃない。得た知識をここぞとばかりに全部俺に試そうとしてくれやがる。情報供給源は主にネットだ。
 そこで得た要らん無駄知識やら通販で注文したらしい口にするのも憚られるような道具類に、俺が今までどんだけ泣かされてきたことか。男の矜持も何もとっくの昔に木っ端微塵にされ跡形も無い。
 しかも更に悪いことに、そんな友達には言えないような経験ばかり積んで、俺の身体はすっかり古泉にされることに悦びを見出だすようになっちまった。呪わしいばかりだ。
 そんな無駄に買い込んだ古泉のコレクションの中にソレがあった。
 エネマグラとか言う名称のそれは奇妙なフックみたいな形状の、古泉曰く医療器具らしい。
 傍目にはそれと見えない風体にだまされてはいけない。
 古泉に付き合わされる内に得た知識の中に、それが何のための器具で使ったらどうなるか、というのを俺も知っていたので、今まで全力で回避していたわけだが、今回ばかりはマジと書いて本気なのか、古泉は笑顔を貼り付けたままじりじりと距離をつめてくる。
 因みにここは古泉の部屋、前門には古泉、後門にはベッド。
 チェスで言うチェックメイトである。

 「大丈夫、うまくできるようしっかり勉強しておきましたから」

 せんでいい!!

 伸びてきた手に二の腕を捕まれ、ひっと声が上擦った。
 瞬間足首に何かが当たってよろけ、そのまま世界が回転したかと思うと、ベッドに転がされていた。足払いかけやがった。なんつう早業。

 「ば、…っ絶対いやだ、っての…!!」
 「んー?…何でも、とおっしゃったのは貴方ですよ?」

 男に二言はありませんよね、と忌々しいほどに清々しい笑み。
 殴りたい畜生。













 「な、なあ…マジで使うのか…?」

 泣きそうなほどに全力で嫌なんだが。
 と訴えてみたところで効果があるなら最初から苦労はしない。
 古泉は勿論です、と満面の笑みを浮かべながらずっと指を動かし続けている。その指、というのは他人の、つまり俺の大変に屈辱的な場所をずっと解すように撫で続けているわけですが。膝がよれそうになるのも仕方が無いってもんだ。
 いくらされても慣れないし、慣れたくもない。
 俺は伏臥したまま枕に顔を埋めて、ズボンを脱がされシャツのみの情けない半裸姿でひたすら辱めに耐えた。

 「ん……、…う、」

 ジェルをたっぷり纏わせた指の腹で窄みを緩めるように撫でてくる。
 そうされるとむず痒いような感覚に段々入り口がひくひくとしてきて、まるで中に入って欲しいと言わんばかりに勝手に蠢くのに、それだけで羞恥でいたたまれなくなる。

 「ん、あ…、……っ」

 頃合いを計ったようにつぷん、と指が粘膜を掻い潜ってもぐり込む。
 撫でられ焦らされたあとやっと与えられる感覚に、勝手に上がる声とともに内壁がきゅっと収縮した。

 「ん、んっ……んん…」

 くちゅくちゅとジェルを塗り込められた其処が恥ずかしい音を立てる。感じているから濡れてるんじゃない、と言い聞かせてみたところで、全然触れられていないあれが既に勃起してしまっているのではまるで意味がない。
 散々に指が中にぬめりを塗り広げたあと出ていく。
 通常だったらこのあと古泉のあれが入って、普通の、とは言い難いものの通常のセックスならそれでことが足りる。
 だが今日はそうはならない。
 是非とも今すぐに路線変更してほしいのは山々なんだが。

 「横を向いて頂けますか。左足は伸ばして、そっちは曲げてください……そう」

 横向きなんて普段は滅多に取らない体位だ。
 ベッドの足元のほうの視界に入らないところで古泉が何事かごそごそやっている。
 おそらく例の悍ましい道具を用意しているんだろう。見ないほうが吉だ、と思いつつもつい、好奇心が勝って首を僅かに擡げてちらりと見る。
 古泉が、割りと小さいその器具の棒状の部分にジェルを垂らしているところが目に入る。白っぽいプラスチック製のそれは長さから言っても十センチ程度で、先端と真ん中くらいが太く、根元に近づくにつれて細くなっている。古泉が入るくらいなんだから、これくらいならなんてこと無いんじゃ…と思った直後に自己嫌悪で急降下した。そもそも尻は入れるところじゃねえ!
 やっぱり見なきゃ良かった、と数秒前の自分の行動を後悔して枕にすがりつくようにして顔を埋めた。

 「リラックスしてくださいね?」

 できるわけねえだろ、と心の中で悪態をついていると、濡らされ解された入口に指とは違う感触のものが触れる。


 「う…、わ、」


 ぬる、とゆっくりと入ってくるそれは当然ながら体温なぞない無機物で、これまでにもそういう道具を入れられたことはあったもののやっぱりちょっとの恐怖と一層の異物感に声が出る。とはいえ圧迫感はそこまでなく、すんなり中に這入り込んだ。

 「先端がちゃんと前立腺に当たるよう調整しないといけないんですが…貴方ご自分ではできませんよね」

 苦笑い混じりに言われ、軽く殺意を覚える。
 古泉が外側にあるツル状の部分でそれを動かすたび、中で位置が変わる。探るようにぐる、と廻され、その刺激に思わず身体に力を入れると弾みで道具を押し出そうと中が動いてしまったらしく、締めないで、と窘められた。

 「力を入れずに、ゆっくり呼吸してください……まだ締め付けては駄目ですよ」

 古泉が吸って、とか吐いて、とか言うがままに呼吸する。
 まるであれだ、医者に聴診器を当てられてる時みたいな。吸って、吐いて。と何がなんだかわからないままただいうとおりにしていると、段々器具を埋め込まれた其処が、じんと奥の方から疼くような奇妙な感覚が生まれる。古泉は既に器具を動かしてはいない。

 「な…、なんか、へんな、感じ、…が、…」
 「ぎりぎりまで我慢してくださいね。中のものを締めつけたくて堪らなくなるまで」

 えらい楽しそうでいいな、お前は。
 まだ強張っている身体を弛緩させようとしているのか、古泉が首筋や項に口づけたり、太股や胸元を撫でたりしてくる。それだけでもどんどん粘膜が熱をもって痺れてくるようで、変だ。後ろを触られてるわけでもないのに。
 段々と入り口の襞のひくつきが大きくなってきて、締めつけないようにするのが辛くなって来る。中がうずうずと落ち着かない。

「…っ、な、なあっ、…もう、…!」

 生殺しみたいな状態に焦れてちゃんとしてくれ、と訴えようとしたところを、シャツの裾から潜り込んだ古泉の指に、ぷくりと尖った乳首を押し潰された。それと同時に、反射的に中の器具をきゅう、と思いっきり締めつけてしまう。しまったと思う間もない。


「あ…、…!?」




 そこから先は未知の感覚だった。






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update:09/9/18



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